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2011年 冬号 (12-1月)

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[めぐりめぐる炭素]

地球をめぐる炭素

自然界に存在する物質も生物も、そのすべてが地球の生態系をつくりあげている大切な構成要素だ。
なかでも炭素は、生物の重要な構成元素。
さまざまな物質と結びつきながら、姿を変えて地球の中をめぐっている。
この炭素化合物の循環を「炭素循環」という。
炭素はどのように循環しているのだろう。

[めぐりめぐる炭素]イメージ
自然界では、長い時間をかけて炭素の固定量と二酸化炭素の放出量がほぼつり合った、バランスの良い炭素の循環システムが構築されてきた。

炭素の旅 スタート!
光合成

[めぐりめぐる炭素]イメージ
植物は、CO2と水から自分の体の材料と栄養源になる炭水化物を作る。
*セルロース:植物の細胞壁の主成分。ブドウ糖(グルコース)が結合した炭水化物。
葉緑体で「糖」を作り「酸素」を出している。
葉緑体で「糖」を作り「酸素」を出している。

森の樹木や海の植物性プランクトンなどは、大気中に拡散している二酸化炭素(CO2)を集めて、根から吸い上げた水と太陽の光エネルギーとで炭水化物を生産し、酸素を放出するという光合成を行っている。葉や木はもちろん、私たち動物の食料になる米や果実も光合成の産物である。動物は、植物が生産した食料を食べて、そこからエネルギーを取り出して活動している。生態系という視点で炭素(C)の循環を見つめると、そのスタートは光合成となる。


食物連鎖と呼吸による分解へ
陸上生物間での循環

[めぐりめぐる炭素]イメージ

陸上では、植物が大気中のCO2を使って生産した炭水化物を草食動物が食べ、草食動物を肉食動物や雑食の人間などが食べるという食物連鎖の中で、炭素は形を変えてめぐっている。さらに土壌にすむ無数の細菌類や生物が、動物の排泄物や生命を終えた動植物の死がいを栄養源として摂取し、糖などの有機物と窒素などの無機物に分解する過程でCO2を大気に戻す。森林などでは長い時間をかけてこのようなバランスの良い生態系が構築されてきた。


巨大なスケールで炭素がめぐる
海と地表付近の循環

[めぐりめぐる炭素]イメージ

海洋は巨大な炭素貯蔵庫である。海の表層では藻類が光合成で作った有機物(C6H12O6)nなどが海中生物のエサとなる。さらに、生物の死がいや排泄物が沈降、分解され、炭素を含む有機化合物に変化しながら海の深層部に運ばれる。これはバクテリアなどの栄養となり代謝されることで炭素を含む無機物、重炭酸イオン(HCO3?)や炭酸イオン(CO32?)に変化し、再び海洋の表層へ戻る。CO2は水に溶けやすいので、海を囲む地表付近では大気中のCO2が雨に溶けて地上に降り、それが海に入り込み、サンゴや貝殻が吸収して炭酸カルシウム(CaCO3)として沈殿する。一部は石灰質の岩石などになり、一部はプレート運動によってマントルの中に沈み込み、火山の噴火の際にCO2として放出される。


お帰り! CO2
自然界でゆっくり分解

土壌生物が酵素などで分解。
土壌生物が酵素などで分解。

落ち葉や枯れ枝などの分子量の多い炭水化物(セルロースなど)は、土壌生物や細菌類の栄養源になり、彼らが持つ酵素で分子量の少ない糖に分解される。その過程で呼吸をして水とCO2を放出する。大気中のCO2から作られた植物は、さまざまに形を変えて、さまざまな生物の体をめぐり、役目を終えると再びCO2になって大気中に返っていく。


あれ、一方通行?
人間が猛スピードで排出するCO2

[めぐりめぐる炭素]イメージ

石油や石炭などの化石燃料は、太古の植物の死がいなどが大陸移動によって閉じ込められ、その時に地中に蓄積したものと考えられている。過去に隔離された化石燃料を近年、人間が見つけ出し、急速なスピードで燃やしながら利用してCO2を放出している。人間の活動が自然界の循環の輪を乱し、地球温暖化の一因になっている。


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