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2007年 7月号

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ヨッシーのお米一話

[ヨッシーのお米一話]第4回 田んぼに生きる仲間たち

今回は、田んぼに暮らす生き物たちがイネを助けながらおいしいお米を実らせる、稲作の仕組みを、九州に行って取材してきた。
イネは仲間に支えられて、こんなイイ味、出ちゃうのかな!?

田んぼに生きる仲間たち

イネを応援するカエルの合唱

田植えが終わった田んぼは、カエルの鳴き声でにぎやかだ。ゲロゲロ……。夜もこの声で存在感を示すカエルには、カラオケ好きな僕も負けてしまいそう。福岡県二丈町のNPO法人「農と自然の研究所」代表の宇根豊さんを訪ねると、田んぼにはカエルだけでなく、たくさんの生き物がいて、イネの生育を支えていることを教えてくれた。

農業改良普及員だった宇根さんは、農薬の量を減らし、害虫が大発生しないような生態系をつくっていこうと、誰もが田んぼの虫を調べられる「虫見板」を作り出した人でも知られる。田んぼには、害虫や益虫、そしてどちらとも言えない「ただの虫」もたくさんいる。そのほかトンボやクモ、ドジョウやヘビなどの昆虫や小動物、イネ以外の植物など、多彩な生き物がいることを宇根さんは伝えているんだ。

なかでも田んぼが繁殖地というカエルは代表格。宇根さんによると、西日本で田植えの後によく見られるのはヌマガエル、ツチガエル、アマガエルの3種類。ヌマガエルは関東では少ないが、英語でインデアン・ライス・フロッグ(Indian RiceFrog)と呼ばれ、まさに「コメガエル」なんだね。そのほかトノサマガエル、アカガエルなど計12種類が田んぼで卵を産む。

研究所が調べたところ、田んぼには1平方メートル当たり、およそ230匹オタマジャクシが育っている。しかし、それがヤゴやタガメなどの生き物の「食料」になり、カエルに成長するのは200匹に1匹程度。それでも福岡県の多い所では、1平方メートル当たり20匹もヌマガエルがいるという。カエルになるとウンカなどの害虫を食べる一方で、ヘビ、サギ、タヌキ、キツネなどに食べられる。カエルは食物連鎖の中で他の生き物の命を支える重要な存在なんだ。

1匹のアマガエルは、イネミズゾウムシというイネの害虫を1日10匹も食べてくれることも分かったんだ。農業はこれまでカエルの働きにはあまり関心を示してこなかったけど、化学肥料や農薬を使わない有機栽培のおコメがおいしいと僕が思うのは、イネがカエルや他の生き物と共存、共生しながら自然の中で健康に生育するからなんだろう。

宇根さんは、多様な生き物に配慮した農業を営む農家を行政がバックアップするよう、運動を続けてきた。農家は、イネの根がしっかり付くために栽培の途中で田んぼの水を抜くけれど、オタマジャクシが死なないように、足が出てくるまでそれを少し待ってやるという、生き物への「まなざし」の大切さを訴えている。

耕作放棄も進む日本の稲作。「日本人は古くから自然環境と調和したコメ作りをしてきました。カエルなどの生き物でにぎわう田んぼを維持することが、結果的に日本の美しい自然を守ることになります」。日本人がもっとおコメを食べて稲作を支えれば、日本の農業と文化が生きカエル! イネの応援団の合唱も続いてほしい。(文・吉田光宏)

田んぼにいるヌマガエル
田んぼにいるヌマガエル

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