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2007年 6月号

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ヨッシーのお米一話

第3回 1株を大きく増やす


[ヨッシーのお米一話]イメージ

「ミスター」といえば栄光の背番号3。米、国ではイチローやマツザカが活躍しているとはいえ、ボクが長嶋ファンであることに変わりない。で、コメと長嶋さんとはどうつながるのかって? キーワードは数字の「3」。バットを振れば三振もするけれど、空振りナシのイネの話を聞いてほしい。


一株から、いったい何粒の米が実るのか?

イネを「一粒万倍」と呼ぶことがあるのを知っているかい? イネには「ぶんげつ」という仕組みがあることは前回話したね。田んぼに植えた苗が、どんどん新しい茎を出して1株を大きく増やすことさ。イネの苗の根元には、同じイネ科の植物の竹のように、「ふし」がある。でも、とても肉眼で確認できるようなものではなくて、超薄で重なっているミクロの世界だ。イネ科植物の茎はかんといって、最初に出たのを主稈(親茎)という。分げつによって節からは、葉が1枚、茎が1本、そして根が生えてくるんだ。

さて、ここからが本番。新しい葉は、下にある節から順番に出てくるのだが、機械植えの場合は6枚目の葉が出たときに、3枚目の葉のある節から茎が伸びてくる。その節から根も出る。続いて7枚目の葉が出るときは4枚目の葉がある節から茎が出る。このようにn番目の葉が出るときは、n ?3 番目の葉がある節から新しい茎が出るという。この分げつの法則は新しい茎でも次々に起こり、ねずみ算のように増殖を繰り返す。すごいのは、主稈の葉が出るときに子や孫の茎も同時に葉を出し、分げつをすることなんだ。ズン、チャッ、チャッ、ズン、チャッ、チャッという3拍子で、つまりワルツのリズムで、それぞれの茎が分げつしているんだよ。

とはいえ、分げつが永遠に続くわけではない。主稈から出る葉の数は品種によって14? 17枚と決まっているんだ。株の中で茎の密度が高くなると新しい茎は生長できないしね。また、最初は体を大きくする生長だけど、種を作るための生長の段階になると穂が実らない「無効分げつ」が増えてくる。そこで田んぼの水を抜いて、無効分げつを止めることもあるそうだ。

お米の先生、藏重宏史さんによると「栽培するイネは通常3?4本の苗を1株として植えるが、1株から20本程度の穂が出て、もみの数は約1500粒にも増えます」とのこと。「万倍」まではいかないが驚異のパワーだ。籾1粒から、できるだけたくさんの米を収穫したい農家にとっては、イネの持つ、分げつの仕組みはありがたい限りだろう。

33年前に現役を引退した後も、ず?っと国民的ヒーローの長嶋さんが分げつのことを知ったら、きっとこうコメントしてくれるだろう。「いわゆるひとつの?、イネのミラクルというんですか、奇跡なんですね」

(文・吉田光宏)

分げつが発生する順番と位置
分げつが発生する順番と位置
主稈から分げつが生じる様子の断面図
主稈から分げつが生じる様子の断面図

お米1合って何粒あるの?

白米1合分を夕べ徹夜で数えてみた。

何と7681粒!!

藏重さんに確かめたら「白米1合=約150g、玄米1000の重さは21?22g、白米にすると18.9?19.8g」とのこと。それなら大体計算が合うね。早く聞いていれば数えなくてすんだのに?。ということは、イネの株だと5?6株分。農家の方々に感謝だね。

[ヨッシーのお米一話]イメージ

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