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2007年 5月号

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ヨッシーのお米一話

[ヨッシーのお米一話]第2回 苗を育てる


ヨッシーのお米一話


田んぼに植えたばかりの苗を「早苗」というけれど、ボクが小学生時代に好きだった女の子の名前も早苗ちゃん。今回は、ちょっぴり甘いキモチをながら苗の話をしよう。


乳離れ後の元気を願って幼い時期は甘やかさない!

イネの苗は、生長にしたがって4つに区分けされる。丈は品種や栽培温度によって異なるが、葉が2枚程度のものが「乳苗にゅうびょう」、3枚程度で「稚苗ちびょう」、4〜5枚が「中苗ちゅうびょう」、さらに大きくなって5〜6枚が「成苗せいびょう」。人間でいうなら、幼稚園児、小学生、中学生、高校生といったところだろうね。

乳苗 稚苗

地域によって育て方は若干違うが、おおよそ次のようになっている。まず、前回説明した方法で発芽をさせ、芽が1?くらいになると、ビニールハウスの中などに移すんだ。これを寒冷紗かんれいしゃでおおい、日光を遮って20〜30℃に保つ。2日ほどすると真っ白だった芽に葉緑素が出てくる。寒冷紗を外して夜は15〜20℃、昼は20℃〜25℃くらいにして育てると、発芽から20日から30日で稚苗になる。田植え後に外気にさらされることを考えて、この時期はだんだん温度を下げて低温に慣らすんだ。これも親心の一つだよね。苗たちは「寒〜!」なんて言っているかも。

機械化が進んだ今の稲作では、田植えに使う早苗は、丈が12?くらいの稚苗がほとんど。「栄養タンク」の胚乳がちょうど空になり、乳離れをして根や葉を自力で出し始めるので、稚苗の時期が効率的な栽培にはグッドタイミングなのだ。しかし、手で田植えをしていた頃は成苗を使ったそうだよ。

「若いうちに田植えをしたイネほど早く根が出始めて、茎がたくさん分かれやすい(分げつ)のです。でも、若いイネだと穂が出るまでに時間がかかります。だから地域や状況に応じて田植えに適する苗の大きさは違ってきます」と、農業・食品産業技術総合研究機構作物研究所の専門家は説明してくれた。寒暖の差が大きい山間地などでは、稚苗より気温変化に強い中苗を植えることもあるらしい。

稲作の起源は、南の温暖な地域だというから、苗も寒さから守ってやらないといけない。だからといって温度を上げたり、たっぷり水を与えて育てた苗は、まだ気温が低い田んぼに移されるとブルブル寒がって、しっかり育つことができないんだ。苗の適正な温度管理や水分補給が肝心。甘やかしは禁物なのさ。

元気のいい稚苗はピンとして葉の幅が広く、生き生きした緑色。苗半作なえはんさくといって苗がちゃんとできれば収穫の半分は決まったようなもの。すでにボクは早苗ちゃんの魅力に気がついていたのに。オー・マイ・ゴッド、あの時デートに誘っておくべきだった!

(文・吉田光宏)

乳苗 稚苗
背丈がそろい、元気に育った稚苗。田んぼに植えられるのを待つばかり

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