観察法のイロハのイ
こんなところにも!? キノコ

掲載日:2018年10月17日
ナラタケ

山に行かなくても、公園や自宅の庭など身近なところにキノコは生えている。キノコの見つけ方のコツや観察の楽しみ方についてキノコ博士の吹春俊光さんに聞いた。

達人に聞きたいコト

キノコってどんな生き物なの?

シイタケやブナシメジなど食べ物としてなじみ深いキノコ。実はキノコは、カビと同じ菌類の仲間です。私たちがキノコと呼んでいるのは、肉眼で見える「子実体」という部分です。キノコの本体は地面や木材の中に広がった菌糸の集まりで、この菌糸を使って栄養を吸収しています。

キノコ(子実体)の構造

キノコは暮らし方によって二つのグループに分けられます。一つは、エノキタケやナメコなど、落ち葉や枯れ木の有機物を分解して、栄養を得る(腐生)グループです。森の掃除屋としての役割をもっています。もう一つは、マツタケなど、植物の根に菌根という組織をつくって共生している(菌根共生)グループです。植物から有機物を得て、代わりに水分や無機物を与えるという栄養のやりとりをしています。

身近な場所で見つけることはできるの?

キノコは秋のものと思われがちですが、実際は一年中見かけます。また、森や山など自然が豊かな場所だけでなく、都会の公園や家の庭など身近なところに生える種類もたくさんあります。

キノコを見つけるヒントは、その暮らし方を思い浮かべることです。特にどのように栄養を吸収しているのかを意識すると、いつも何気なく見ている街路樹の周りでも見つけることができるかもしれません。例えば、木の根元や落ち葉の下などをじっと見ることから始めてみましょう。

でも、見つけたからといって、すぐに採らないでください。キノコには有害成分を含むものがあり、私有地や共有林など採集に許可が必要な場所もあります。

キノコの楽しみ方を教えて

キノコは季節や環境によって、生える種類が大きく変わります。同じ場所でも、行くたびに別のキノコが生えていることがよくあります。

キノコを見つけたら、まずよく観察して、スケッチや写真におさめてみましょう。種類によって、傘や柄の形や色、模様などに特徴があります。大きいものや小さいもの、傘が大きく開いているものや、とがっているもの、傘の色が鮮やかなものや模様があるものなど、いくつかの種類を見比べてみると、その多様さに驚くことでしょう。キノコの名前を覚えるには、観察会などに参加して、達人に教わるのが近道です。キノコは種類が多く、まだ名前のついていないものもあるので、自分で命名するチャンスもありますよ。

吹春さんが命名したキノコはコレ! ウシグソコナヒトヨダケ

吹春さんは、2011年に北海道でこのキノコがエゾシカのふんから生えているのを見つけました。詳細を調べると、新種であると分かり、「ウシグソコナヒトヨダケ」と名付けました。

このキノコは、動物のふんから生え、その栄養で暮らすという珍しい種類です。

(画像提供/吹春俊光)

見つけ方のポイント

  • キノコの暮らし方を思い浮かべ、木の根元、切り株、枯れ木や落ち葉の下などを探す。
  • 一定の範囲を決めて、じっと見る。見続けると目が慣れて、キノコに気付けるようになる。
  • 場所を決めて観察を続ける。同じ場所でも、ある日突然キノコが生えていることがある。
「これはオニフスベというキノコです。草地や竹藪など身近なところで見つけることができます。」
吹春 俊光(ふきはる・としみつ)
千葉県立中央博物館植物学研究科長。1959年福岡県生まれ。京都大学卒。農学博士。
博物館のキノコ担当として、千葉県の主に房総半島に生育するキノコを30年間調査してきた。著書に「おいしいきのこ毒きのこハンディ図鑑」(共著、主婦の友社)、「見つけて楽しむきのこワンダーランド」(共著、山と渓谷社)など多数。
記事一覧ページへ