• サイエンスウィンドウのTwitter
  • サイエンスウィンドウのウェブコンテンツ
  • 宙(そら)と粒との出会いの物語
  • 科学と技術のおもしろさを伝える 子ども科学技術白書
  • 未来の共創に向けた社会との対話・協働の深化
  • サイエンスアゴラ
  • サイエンスポータル
  • サイエンス チャンネル

2019年冬号 (1-3月)

この号の目次へ戻る

[達人に聞く!!] 観察法のイロハのイ

自然がつくったしんの空間しょうにゅうどう

秋芳洞(山口県)(画像提供/後藤聡
あきよしどう(山口県)(ぞうていきょうとう さとし

日本各地には、数多くのしょうにゅうどうがある。
長い年月をかけて生み出されたどうくつ内の光景は、どれもあっかんのスケール。
太古の歴史を感じるしん的な空間が広がっている。
しょうにゅうどうの観察の仕方や楽しみ方を、どうくつたんけん家のとうさとしさんに聞いた。


達人に聞きたいコト

しょうにゅうどうってどんなところ?
しょうにゅうどうでは何を見ることができるの?
観察をより楽しむためのポイントを教えて


しょうにゅうどうってどんなところ?

しょうにゅうどうとは、主にせっかいがんの地層にできる、しょうにゅうせきのあるどうくつのことをいいます。

しょうにゅうせきは、つららじょうがるものや、地面からたけのこのように成長するものなど、さまざまな形があり、かんきょうにもよりますが、へいきんすると100年でわずか1cmほどしか成長しません。

せっかいがんには、さんせいの水にけやすいせいしつがあります。さんたんふくんでさんせいになった雨水や地下水が、何十万年、何百万年と気の遠くなるような長い年月をかけて、じわじわとせっかいがんかし、どうくつをつくり出します。このとき、せっかいがんからけたたんさんカルシウムがふたたけっしょう化したものが、しょうにゅうせきです。

成長したしょうにゅうせきの成分にふくまれる、ほうしゃせんを出すぶっしつほうしゃせん量をそくていすると、しょうにゅうどうのできた時期がわかるため、しょうにゅうどうは、地球の歴史がきざまれた場所といえます。

しょうにゅうどうでは何を見ることができるの?

まずは、いろいろな種類のしょうにゅうせきを見つけることができます。てんじょうからがる「つらら石」や足元からたけのこのようにならぶ「せきじゅん」、かべおおう「フローストーン(流れ石)」は、ほとんどのしょうにゅうどうで見ることができます。めずらしいしょうにゅうせきもあるので、事前に見どころを調べてから行くのがおすすめです。また、「ストロー」など、た形に例えてユニークな名前が付けられていることも多いです。

しょうにゅうどう内ではあちらこちらに水たまりが見られ、地下水がほうなところでは、大きな地底湖ができていることもあります。青くかがやく水をたたえた地底湖のあるどうくつは、とてもげんそう的です。

また、くらやみしょうにゅうどうには、コウモリがすんでいます。かれらは夜行せいなので、昼間はねむっていて気づかないことが多いのですが、ふんのにおいを感じたら、近くにコウモリがいるかもしれません。てんじょうなどにも目を向けてみてください。

ほかにも、コウモリのふんえさにしてカビが育ち、さらにカビをえさにするトビムシやヤスデなどがすんでいます。光合成を行う植物は、光のとどかないしょうにゅうどうおくでは育たないので、入り口付近にしか見られません。

観察をより楽しむためのポイントを教えて

楽しみ方はさまざまですが、わたしは写真をることを楽しんでいます。きれいな写真をるにはかなりのじゅつが必要ですが、ストロボは使わずに、手ブレに気をつけてるとよいでしょう。初心者でも気に入ったしょうにゅうせきを見つけて写真におさめるのは楽しいものです。

うすぐらくてめいのようなしょうにゅうどうを歩くのは、ぼうけん気分が味わえます。しょうにゅうどうたんけんツアーもあるので参加してみるといいですよ。

しょうにゅうどうの中をくまなく観察するのもポイントです。照明が当たらない場所を観察するために、ぜひかいちゅう電灯を持参してください。例えば、かべの形を観察すると、地下水の水量や流れた方向が分かるため、しょうにゅうどうがどうやってできたのかをすいそくできます。

また、ヒトデの仲間であるウミユリや動物などの化石、さらにはどうないながんだ古代のじんこつが見つかることもあります。化石は、かつて日本列島でどんな動物がぶんしていたのかを知るかりになり、地球の歴史をひもくことも楽しみのひとつです。ガイドにはない自分だけの発見ができるかもしれません。

しょうにゅうどうのでき方

①土壌の二酸化炭素を含んで酸性になった水が、石灰岩の割れ目に入り込こみ、岩を溶かして水路ができる。

じょうさんたんふくんでさんせいになった水が、せっかいがんはいみ、岩をかして水路ができる。

②水路が徐々に広がり、さらに周辺の石灰岩を溶かして、人が通れるほどの広さの水中洞窟になる。

②水路がじょじょに広がり、さらに周辺のせっかいがんかして、人が通れるほどの広さの水中どうくつになる。

③④洞どう窟くつがさらに広がり、地下水の水位が下がることで、鍾乳洞が徐々に発達しはじめる。石灰岩を溶かした地下水が、洞窟の天井から水滴となって落ちる時、溶けていた炭酸カルシウムが再び固まり、様々な形の鍾乳石になる。

石灰岩を溶かした地下水が、洞窟の天井から水滴となって落ちる時、溶けていた炭酸カルシウムが再び固まり、様々な形の鍾乳石になる。

③④どうくつがさらに広がり、地下水の水位が下がることで、しょうにゅうどうじょじょに発達しはじめる。

せっかいがんかした地下水が、どうくつてんじょうからすいてきとなって落ちる時、けていたたんさんカルシウムがふたたび固まり、さまざまな形のしょうにゅうせきになる。(赤枠内)

さがしてみよう!こんな形のしょうにゅうせき

つらら石

つらら石
しょうにゅうせきの代表的なけいじょうで、どこのしょうにゅうどうでも見ることができる。てんじょうからみだした地下水からできる。どうくつじょうたいや地下水の成分によって色や形がことなる。

石筍

せきじゅん
たけのこのようにゆかから上にびるしょうにゅうせきてんじょうのつらら石などからゆかに落ちたすいてきでできる。つらら石と同様、ほとんどのしょうにゅうどうにある。

フローストーン(流れ石)

フローストーン(流れ石)
ゆかかべの表面にうすおおかぶさったようなしょうにゅうせき。多くのしょうにゅうどうにある。かべゆかを流れる水からできたしょうにゅうせきが、まくじょうに成長する。下の岩を完全におおってしまうものが多い。

ストロー(鍾乳管)

ストロー(しょうにゅうかん
ストローのようなしょうにゅうせきてんじょうにあいたあなから落ちるすいてきつつじょうに固まったもの。直径5ミリほどの太さに成長するが、うすくもろいため自重で落ちてしまうものもある。

カーテン(幕石)

カーテン(まくいし
ななめになったかべてんじょうを伝わるすいてきによってできたしょうにゅうせき。流れた水のあと沿って成長し、板じょうになる。うすい部分はまるでカーテンのように光を通す。

ケイブパール( 洞窟真珠)

ケイブパール(どうくつしんじゅ
石ころのように見えるめずらしい形のしょうにゅうせきすいてきがよく落ちる水たまりの底で、せっかい分がりゅうなどをつつんでできる。

ぞうていきょうとう さとし

知っておきたい注意点

しょうにゅうどうへは子どもだけでは行かず、しゃの方といっしょに行きましょう。

どうくつの中はうすぐらいので、足元や頭上には特に気を付けましょう。

しょうにゅうどうの中の岩石やしょうにゅうせきをむやみにさわったり、きずを付けたりすることはげんきんです。

しょうにゅうどう内は、せまい通路、急こうばいもあります。動きやすくよごれてもよいふくそうで行きましょう。

● 足元はぬれていてすべりやすいので、サンダルなどはけ、スニーカーなどの歩きやすいくつをはいて行きましょう。

● 夏でもどうくつの中はすずしいので、上着を持っていくと安心です。

知っておきたい注意点

しょうにゅうどうなんでも日本一

長さ

国の天然記念物に指定され、そうえんちょう約2万3,702mの長さをほこあっどう(岩手県)は日本一長いしょうにゅうどうとして知られています。「めいきゅうしょうにゅうどう」とばれ、今もそのぜんぼうは明らかになっていません。

高さ

標高900mに位置するしょうにゅうどう県)は、日本一標高の高い場所にある観光しょうにゅうどうとして有名です。しょうにゅうどうへきめんには、海洋生物の化石が多く発見され、この場所が2億5,000万年前は海底にあったことが分かっています。

深さ

びゃくれんどうにいがた県)は地表から地下にびるたてしょうにゅうどうで、日本一の深さ513mを記録しています。びゃくれんどうがあるマイコミ平には、深さが日本1位から4位までのしょうにゅうどうそんざいしています。

広さ

せんじょうじき」とばれる日本最大のどうない空間をほこあきよしどう(山口県)。はば80m、長さ175m、高さ35mのきょだいな空間は、数万年前の大らくばんたんじょうしたとされ、いくにも重なったきょだいな岩が見られます。

この号の目次へ戻る

バックナンバー一覧へ