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2019年冬号 (1-3月)

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[交わるアートとサイエンス]

AIがそうさくをサポート
アートがもっと楽しくなる!

AI × Art

自ら作品を作るAIの登場は、アートの世界に新しい風をんだ。
さらに、人間のそうさくかつどうをサポートするAIがアートと人間の距離を近づけ、人間とAIのコラボレーション作品も生まれている。
今、AIとアートのゆうごうは、どのような広がりを見せているのだろうか。


AIがアート作品を そうさく

ここ数年、AIエーアイArtificialアーティフィシャル Intelligenceインテリジェンス : 人工のう)がそうさくしたアート作品の話題を耳にすることがえている。その代表かくともいえるのが、2016年に発表された「The Nextネクスト Rembrandtレンブラント(次のレンブラント)」。アメリカのソフトウェア会社のマイクロソフトや、オランダの大手きんゆう機関のINGアイエヌジーグループ、レンブラント博物館、デルフト工科大学などが行った大プロジェクトで、AIの機械学習によって、17世紀を代表するバロック絵画のきょしょう・レンブラントの"新作"を作り出した。

このプロジェクトでは、AIにレンブラントの全346作品をませ、タッチや色使い、こうなどから「レンブラントらしさ」を学ばせた。そうしてすう化したレンブラントのとくちょうをもとに、AIが新しい絵画をえがく作業は、コンピューターをどうさせ続けても500 時間を必要とする高度なものだった。しかも、絵画は3Dプリンターで出力され、レンブラントの油絵のようなしつかんや、絵具のおうとつまでもがひょうげんされている。

2018年10月には、AIのえがいた絵がでんとうあるオークションで数千万円のだんをつけた。この作品はフランスの研究者やアーティストらのグループによるもの。14世紀から20世紀にえがかれた1万5000点ものしょうぞう画データをませたAIが、自ら作り出した。それまでにはない「AIのオリジナル作品」として大きな話題になった。

人間のそうぞうせいかくちょう

オリジナル作品をそうさくできるほどの高度なAIが作られる一方で、手軽にアートを楽しめるようサポートしてくれるAIも多数登場している。

例えば、ぞうデータをさまざまなタッチに加工できるスマートフォンアプリを使えば、だれもがデジタルアートを手軽に楽しむことができる。音楽の世界では、せんもんしきがない人でもかんたんに作曲できるアプリがたくさん作られている。AIによってだれもがアートにれ、そうさくする喜びを体験できるかんきょうが生まれているのだ。

世の中には「AIに仕事をうばわれる」という不安から、AIがそうぞうせいを持つことにてい的な人もいる。しかし、AIによるそうさくツールを使うことは、むしろ人間のひょうげんのうせいを広げると考えることもできる。

ここでしょうかいするさまざまなAIじゅつから、そうさくする喜びや、アート作品を見たときのこうよう感などをイメージしてもらいたい。

AI × 絵画

写真を自分好みの絵画に加工

Artomatonアートマトンfuturalaフツララ

加工したい写真と画材を選ぶだけで、自動でき絵画のように加工してくれるアプリ。画材は、油絵、スケッチ、いろえんぴつ、チャコール、マーカーの5種類で、キャンバスざいも数種類から選ぶことができる。線の太さやあらさ、明るさ、コントラストを調整して自分の好きなタッチに仕上げることもできるので、自分で絵をえがくときのお手本にも使える。

Artomaton(futurala)

AI × 音楽

AIが自分で さくした曲で歌手デビュー

AIエーアイ TommyトミーJ-WAVEジェイウェーブ

FMエフエムラジオ局J-WAVE(81.3FM)のAIアシスタント「Tommy」は、IBMアイビーエムのAI「Watsonワトソン」によりたんじょうした。J-WAVEがにオンエアした楽曲データベースからしゅんさいてきな曲をせんたくしたり、ゲストのせいかくぶんせきをしたりするなど、番組のアシスタントとしてかつやく。2018年9月には、世界中の名曲を学習してTommy自らがさくした曲「INNOVATIONイノベーション WORLDワールド」で、歌手「AI Tommy」としてデビューを果たした。

AI Tommy(J-WAVE)

ぞうていきょう:J-WAVE


AIとアーティストのコラボレーションで作曲

akaihaneアカイハネ(東京都市大学/おおさか大学)

AIにもとづく自動作曲システムとフォークデュオ「ワライナキ」のコラボレーションにより作られた曲で、共同きん運動70周年記念おうえんソングとして発表された。「おうえん」「助け合い」「あたたかい」というイメージのある3曲をワライナキの曲から選曲。その曲を学習させたAIが自動で作ったメロディーをベースに、ワライナキがさく・作曲して完成した。

akaihane(東京都市大学/大阪大学)
ワライナキのしらだいすけさん(左)と、AIを開発した東京都市大学のおおたにのりきょうじゅ(右)

ぞうていきょう:東京都市大学


だれでもきょうそうを楽しめるAIとの「きょうそう体験」

Duetデュエット withウィズ YOOユー(ヤマハ)

プレーヤーのえんそうをリアルタイムでかいせきし、自動えんそうピアノとの「きょうそう」をじつげんするパートナーAI「YOO(ユー)」。音楽を楽しむために、人と楽器をつなぐそんざいとして開発された。ピアノけいけん者が指1本でくようなえんそうでも、その人のテンポやひょうげんに合わせたばんそうをすることができるインスタレーションで、がっそうする楽しみを味わえる。

Duet with YOO(ヤマハ)
Duet with YOO(ヤマハ)

ぞうていきょう:ヤマハ


AIでダンサーがピアニストになる

まいてんゆう(東京げいじゅつ大学/ヤマハ)

2017年11月に東京げいじゅつ大学COIシーオーアイきょてんしゅさいしたコンサート「舞・飛天遊(まい・ひてんゆう)」。世界的ダンサーのもりやまかい氏が、身体ひょうげんでピアノをえんそうした。

森山氏の身体に取り付けたセンサーが、ダンスによる動きをリアルタイムでけんしゅつ。これをヤマハのAIえんそうシステムがおんへんかんし、自動えんそうピアノをえんそうする仕組みになっている。このコンサートで森山氏は「ピアニスト」として、ベルリンフィル・シャルーンアンサンブルとともに楽曲「まいてんゆう」をえんそうし、「ダンスとピアノのゆうごう」という新たなひょうげん方法をしめした。

舞・飛天遊(東京藝術大学/ヤマハ)

ぞうていきょう:東京げいじゅつ大学(さつえいしんどうあや

舞・飛天遊(東京藝術大学/ヤマハ)

ぞうていきょう:ヤマハ

AI × 映像

数学と身体ひょうげんを近づけることで生まれるダンス

discreteディスクリート figuresフィギュア(ライゾマティクスリサーチ/イレブンプレイ/カイル・マクドナルド)

アメリカ、カナダに続いて、2018年8月に日本で公開されたダンスパフォーマンス作品。音楽に合わせてしゅんに作られるそっきょうダンスをAIにかいせきさせてすう。インターネット上にあるぼうだいな数のたいえいぞうえいのシーンから、そのダンスにたポーズを持つえいぞうざいさがしてプロジェクションマッピングでひょう。さらにドローンなどのハードウェアも組み合わせ、今までにないダンスひょうげんを作りだした。

discrete figures

ぞうていきょう:ライゾマティクスリサーチ
photo by Tomoya Takeshita


せんの先にさまざまな花がみだれる

せんで花くアートてん NEC エヌイーシー

そのしゅんかん、そのくうかんに、ぐうぜん集まった人たちとAIが協調することで、世界でただ一つの作品を作り出すてん。2017年11月に開催された。NECエヌイーシーのAIじゅつえんかくせんすいていじゅつ」で、プロジェクションマッピングのスクリーンを見ている人たちのせんをカメラぞうからリアルタイムですいていせんの先に花をかせる。かんしょう者の人数がえることで、ひょうげんされるアートはよりさいになっていく。

視線で花咲くアート展 (NEC)

ぞうていきょうNECエヌイーシー

AI × 文学

AIの書いたたんぺん小説が文学賞の一次しんつう

作家ですのよ(公立はこだて未来大学)

「気まぐれ人工のうプロジェクト 作家ですのよ」は、2013年にスタートしたAIによるたんぺん小説生成プロジェクト。SFエスエフ作家・ほししんいちのショートショート※1000へんから、文章こうせいや発想法をかいせきし、AIが小説を書いた。AI(ペンネームは"みかん愛")が書いたショート作品「わたしの仕事は」は、2016年に第3回星新一賞におうし、一次しんつうした。

作家ですのよ(公立はこだて未来大学)

ショートショート: たんぺんよりさらに短いちょうたんぺん小説。


1秒間に40を作り出して人間と対決したAIはいじん

いっくんSAPPOROサッポロ AIエーアイ LABラボ

「SAPPORO AI LAB」によるAIはいプロジェクト。ばやしいったかはまきょなどの12万をディープラーニングでAIに学習させた。風景やちょうふうげつなどの写真と季語をマッチングさせる学習もさせている。そうして開発された「一茶くん」は、1秒間に約40を自動生成することがのう。2018年7月に行われた人間対一茶くんのはい対局では、きんで一茶くんが敗れた。

一茶くん(SAPPORO AI LAB)

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