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2019年冬号 (1-3月)

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[交わるアートとサイエンス]

VRブイアールで新しいアニメのひょうげん

交わるアートとサイエンス ~今、そして未来へ~

ゲームなどのエンターテインメント分野で身近になってきたVR。

今後はスマートフォンのように、人々の生活に欠かせないツールになるのではと期待されている。

さらに、げんじつ世界ではじつげんすることがむずかしいひょうげんができるツールとしても注目されている。


VRの登場

VRとはVirtualバーチャル Realityリアリティりゃくで「そうげんじつ」とやくされ、げんじつではないそうの世界をあたかもげんじつの世界のように感じさせるじゅつがいねんを指す。VRを体験するには、ヘッドマウントディスプレイとばれるゴーグルのような機器をそうちゃくし、その中にとうえいされるえいぞうを見ることでその世界にいるような感覚を得る方法がいっぱんてきだ。「1990年代には産業や研究の分野でこのじゅつは知られていましたが、ヘッドマウントディスプレイなどの機器がこうがくで、だれもが気軽に楽しめるものではありませんでした。じゅつの進歩によりこうした機器のかくが下がり、家庭向けのヘッドマウントディスプレイが発売された2016年ごろから、VRが広く知られるようになってきました」と、日本で早くからVRのきゅうに取り組んできたこんどうよしひとさんは語る。

こんどうさんは、VRを使ったコンテンツの開発などを手がけるかぶしき会社XVIエクシヴィの代表をつとめている。小学生のころからパソコンに親しみ、プログラミング言語を覚えてゲームなどをつくっていたという。いつからか「まんえいのように、人がゲームの世界に入りこめるんじゃないか」という思いをいだくようになり、2013年にOCULUSオキュラス社が発表したヘッドマウントディスプレイを体験したときにその思いがかくしんに変わった。「それまでの機器では得られなかった、バーチャルの世界にぼつにゅうできたという実感がありました。同時に、このじゅつがもっと進んでだれもがVRを楽しめる時代がくる、と期待がふくらみました」

「VRが当たり前」の未来とは

げんざいは家庭用としてゲームなどを楽しむ人が多いが、「今後は、バーチャルの世界とげんじつの世界がよりみっせつになってくるでしょう。ヘッドマウントディスプレイもどんどん小型化され、着けて外出することが当たり前になれば、人々の生活や どうなどのがいねんも大きく変わると思います」とこんどうさん。VRでは、バーチャルの世界に自分のアバター(分身)をつくってほかの人と交流することがようにできる。「アバターでコミュニケーションすることが当たり前になれば、会社に行かなくても会議ができるなど働き方が変わってくるでしょう。学校のじゅぎょうもVRで受けられるようになりますね」(こんどうさん)

※VRではかいをすべてそうの世界にえるが、げんじつの世界にそうの世界を重ね、その2つがゆうごうした世界を体感させる技術ぎじゅつMRエムアール)が進歩している。MRはMixedミックスト Realityリアリティりゃくで、「ふくごうげんじつ」とやくされる。ヘッドマウントディスプレイを通して見えるげんじつの世界にそうの世界でつくり出したじょうほうが重なり、あたかもそこにそんざいするように感じたり、じっさいさわったりすることができるようになる。

(左)近藤義仁さん株式会社XVIエクシヴィ代表取締役社長 (右)三上昌史さん 株式会社シーエスレポーターズ Gugenkaグゲンカ®事業統括
(左)近藤義仁こんどうよしひとさん 株式かぶしき会社XVIエクシヴィ代表取締役とりしまりやく社長
(右)三上みかみ昌史まさふみさん 株式かぶしき会社シーエスレポーターズ Gugenkaグゲンカ®事業統括とうかつ

バーチャルの世界でのそんざい

VRで人とコミュニケーションすることを多くの人が自然と受け止められるようになるには、VRの中のキャラクターのそんざい感も重要なようだとこんどうさんはてきする。「キャラクターの目やまゆの動きなどのひょうじょうや、せんを合わせるタイミングなどで、『本当にそこにいる』ように感じられるかどうかが分かれます。こうしたそんざい感を生み出すひょうげん力は当社が力を入れてきたところです」(こんどうさん)

VRでアニメを作る

このXVIのじゅつを生かして登場したサービスが「AniCastアニキャスト®」だ。AniCastはVRでかんたんにキャラクターをつくり、アニメのように動かすことができる。またそのキャラクターの動画を広く配信できるシステムだ。じゅうらいのアニメーションせいさくは、一まいまいキャラクターの動きをえがいていくため、人手もせいさく時間もかかる。一方AniCastでは、PCとヘッドマウントディスプレイ、手にそうちゃくするコントローラーを用意して、VRの中のキャラクターになりきってえんをするだけで動画ができあがる。

そして、VRのアプリ開発などを手がけるGugenkaグゲンカ®のかみまさふみさんとともにAniCastを使って生み出したキャラクター「しののめめぐ」の動画が話題となっている。動画はインターネット上のライブ配信サービスで ていきょうされている。「AniCastを使えば、動画を見ている人からのはんのうにリアルタイムでおうじることものうです。動画を見ている人は『しののめめぐ』とじゅんすいにコミュニケーションがとれるという体験を楽しんでいます」(かみさん)

コントローラーを使ってVRで操作している様子。実際の手の動き(右)と、VRの中で見える手の動き(左)が連動し、直感的にVRの中のものを動かすことができる。(写真提供:XVI)
コントローラーを使ってVRで操作そうさしている様子。実際じっさいの手の動き(右)と、VRの中で見える手の動き(左)が連動し、直感的にVRの中のものを動かすことができる。
(写真提供:XVI)
実際に配信された「東雲めぐ」の動画。動画を見ている人が描えがいたイラストをライブ配信中にAniCastへ取り込こみ、「東雲めぐ」が人形劇のように動かして見せている。(写真提供:XVI)
実際じっさいに配信された「東雲しののめめぐ」の動画。動画を見ている人がえがいたイラストをライブ配信中にAniCastへ取りみ、「東雲しののめめぐ」が人形げきのように動かして見せている。
(写真提供:XVI)

しののめめぐ ©︎Gugenka/AniCast®︎ XVI Inc.

だれもがひょうげん者になれる世界

AniCastはアニメーションの新しい楽しみ方をつくり、だれもがアニメーターになれるのうせいを広げたといえるだろう。もともとVRは、アニメーションだけでなく何かをひょうげんするツールとしてすぐれていると、こんどうさんとかみさんは強調する。「VRを使えば、自分の頭の中で思いえがく世界をかんたんに形にすることができます。また、自分がつくったものを多くの人に発表したり、自分がつくった世界にほかの人を呼ぶこともかんたんにできます」(かみさん)。「わたしはプログラミング言語を知って、パソコンでやりたいことができる世界にきょうをもち、新しいものをつくり出してきました。同じように、AniCastを使った子どもたちが、ひょうげんすることやVRにきょうをもって、さらに新しいものを生み出してくれたらうれしいですね」とこんどうさんは期待をせる。

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