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2019年冬号 (1-3月)

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[交わるアートとサイエンス]

みんなで音を楽しもう♪

音楽は耳でいて楽しむもの、と考えがちだが、見たり、れたりして感じる新しい音楽の楽しみ方が提案ていあんされている。
また、だれもが簡単かんたん演奏えんそうできる楽器を使えば、より音楽が身近になる。
新しい音楽体験を実現じつげんする「きょうゆう楽器がっき」を研究している金箱かねばこ淳一じゅんいちさんに聞いた。


音を「聞く」から、音を「く」へ

「最近、『音を利く』というひょうげんを使うようにしています。『利き酒』という言葉がありますが、これにはお酒を味だけでなく、かおりや色、のどごしなどもふくめて、五感を使って楽しむという意味があります。例えば、コンサートでは、しゅつえん者のパフォーマンスだけでなくステージ上の照明、大型スピーカーによるしんどうなども、観客が楽しむための重要なようです。『音を利く』には、ちょうかく以外のさまざまな感覚も使って、そうごう的に音を楽しむという意味をめています」

そう語るのは、産業じゅつ大学院大学のかねばこじゅんいちさんだ。かねばこさんは、身体とくせいや感覚とくせいにかかわらず、だれもが共に音を「利く」ことができる「共遊楽器」の研究に取り組んでいる。「共遊楽器」とは、楽器だけでなく、その楽しみ方までもふくんだがいねんだ。

かねばこさんがつくった主な「共遊楽器」

はくしゅを見る

クラップ・ライト

クラップ・ライト

指にはめて手をたたくと、指の後ろにあるLEDエルイーディーが光る。たたいたしょうげきで発生する電力で発光している。

ぞうていきょうかねばこじゅんいち

クラップ・ライト

音にさわ

タッチ・ザ・サウンド・ピクニック

タッチ・ザ・サウンド・ピクニック

マイクがとらえた音をしんどうに変えて、手に伝える。音の種類や強弱によって、しんどうが変化する。

協力/JSTジェイエスティ- ACCELアクセル「身体せいメディアプロジェクト」、けいおうじゅく大学大学院メディアデザイン研究科

ぞうていきょうかねばこじゅんいち

目とはだ

ビブラションカホン3.0

ビブラションカホン3.0

打楽器をたたいた音が、光としんどうとなってほかのプレーヤーに伝わる。たたくタイミングが合うと光が変化。

共同せいさく/モンブラン・ピクチャーズかぶしき会社

ぞうていきょうかねばこじゅんいち

音が見える

ラタタップ

ラタタップ

マラカスなどを鳴らすと、その位置をカメラがけんし、足元に動くキャラクターのえいぞうとうえいされる。

共同せいさく/モンブラン・ピクチャーズかぶしき会社

ぞうていきょうかねばこじゅんいち

音を光やしんどうに変えて伝える

「研究のきっかけは、がんメーカーで働いていたとき、目や耳にしょうがいのある子どもたちもいっしょに遊ぶことができる『共遊がん』を知ったことです。同じように、だれもがいっしょに楽しめる楽器があればいいなと思いついたんです」(かねばこさん)

耳にしょうがいがあっても音を「見える」ようにすることで、音を感じることができる。それをじつげんしたのが、はくしゅで光る「クラップ・ライト」だ。「観客席が暗いコンサート会場などでははくしゅびょうの動きが見えず、空間のがりが分かりにくい。そこではくしゅを目で見えるようすれば、耳にしょうがいがある人が音を『利く』ことができると思いつくりました」(かねばこさん)

さらに、音をしんどうに変えてはだで感じられる「タッチ・ザ・サウンド・ピクニック」を考案した。マイクで拾った音が、その大きさや種類によってことなるしんどうで手のひらに伝わってくる。「映画かんしょうなどでまくを読んでないようをとらえていた人が、これを使うことでセリフのよくようまで伝わり、より深くかいできるかもしれないと、喜んでいました」とかねばこさん。

「耳にしょうがいのない人でも、イヤーマフ(ぼうおん用の耳あて)で聞こえる音を小さくして、タッチ・ザ・サウンド・ピクニックで音をしんどうとして感じてみると、これまで気づいていなかった音のそんざいに気づくことがあります」。五感を使って音を「利く」ことがしょうがいの有無に関係なく新しい体験を生み出すと、かねばこさんは強調する。

タッチ・ザ・サウンド・ピクニックの仕組み
タッチ・ザ・サウンド・ピクニックの仕組み
音は空気のしんどうによって伝わる。「タッチ・ザ・サウンド・ピクニック」は、このしんどうをマイクでとらえて電気の信号にへんかん。アンプによってぞうふくした電気信号をコイルに流してしんどうを発生させている。
金箱さんが初めてつくった「マウンテンギター」。手を振るだけで音が出て、持つ高さや角度を変えることで音色を変化させることができる、誰もが簡単に演奏できるギターだ。
かねばこさんが初めてつくった「マウンテンギター」。手をるだけで音が出て、持つ高さや角度を変えることで音色を変化させることができる、だれもがかんたんえんそうできるギターだ。

音楽を共有することで、新しい体験に

「『音楽のほんしつは共有である』という、世界的なピアニストの言葉がありますが、同じ空間で音楽をいっしょに楽しむことで一体感が生まれます。『共遊楽器』を使えば、しょうがいの有無や言葉のちがいをえて音楽を共有することができ、新しいコミュニケーションが生まれます」(かねばこさん)

その一つが「ビブラションカホン3.0」。ペルーのでんとう的な打楽器カホンをしたもので、1人がたたいた音がいっしょえんそうしている人に楽器を通してしんどうとして伝わる。さらに音を光として見えるようにし、えんそう者が同じタイミングでたたいたときは光がつながるなど変化をつけた。目とはだで相手の音を感じながら、いっしょに音楽をつくり上げる楽しみが味わえる。さらに「ラタタップ」では、より多くの人と同時にえんそうできるようになった。

こうした新しい楽器は、人々の声を聞くことで生まれてきているという。「じゅつを使えば、道具を使う人のとくせいにあわせていくことができます。また、じゅつを使うことで人間ののうせいを広げることもできます。音楽だけでなく、新しい感覚を発見できるような道具もつくっていきたいと考えています」と、かねばこさんのゆめは、音楽以外のりょういきにも、大きく広がっている。

楽器を演奏することをより身近にしようと、衣服に楽器の機能をもたせ、人間との距離を限りなく0に近づけた「楽器を纏う」プロジェクト。電気を通す特殊なインクを使った胸のプリント部分をタッチすると音が鳴る。(共同制作/Lisako Ishigami、画像提供/金箱淳一)
楽器をえんそうすることをより身近にしようと、衣服に楽器ののうをもたせ、人間とのきょかぎりなく0に近づけた「楽器をまとう」プロジェクト。電気を通すとくしゅなインクを使ったむねのプリント部分をタッチすると音が鳴る。
(共同せいさくLisakoリサコ Ishigamiイシガミぞうていきょうかねばこじゅんいち
産業技術大学院大学 金箱淳一さん
産業じゅつ大学院大学
かねばこじゅんいちさん

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