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2018 春号 (4-6月)

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[空からジオ]

秋田県八峰町 八峰白神ジオパーク

地球が活動する様子を、現地で感じ取りながら楽しく学べる「ジオパーク」。空と地上の両方から紹介する。


[空からジオ]イメージ
日本海に面した秋田県八峰町は世界遺産・白神山地の西端に位置する。能代平野が広がる水田地域、山が迫る漁村地域、そして白神の山岳地帯など異なる地形が共存している。白神山地は今も隆起を続けており、その歴史を示しているのが海成段丘だ。白神山地を育んだ地球の営みとはどんなものだろう。
写真提供/秋田大学教授 林信太郎


地上から見ると

解説:八峰白神ジオパーク推進協議会 事務局員 三輪拓磨さん

秋田県八峰町にある八峰白神ジオパークは「白神山地の恵みに生きる」をメインテーマに活動を展開している。その特徴は、世界自然遺産である白神山地の西端に位置し、地形や生態系を間近で観察できることにある。実は、白神山地は今も年間に平均1.3mmほど隆起を続け、海岸部では侵食によって地形が変化している。空から見た写真で紹介した海成段丘は数段に及び、白神山地における隆起の歴史を表しているのだ。

2500万〜2300万年前、地殻変動によって後に日本列島になる陸地が大陸から離れ、日本海が形成され始める。海底火山が噴火し、溶岩が流れ出し、海の底には火山灰が堆積した。その火山灰が固まったのが凝灰岩である。凝灰岩は石質がもろく波の侵食を受けやすい。八峰白神ジオパークには「白神のスフィンクス」と呼ばれる奇岩があるが、こういった自然の造形物も凝灰岩が侵食されたものである。

1000万〜400万年前に形成されたのが「安山岩」の地層だ。八峰町ではかつて鉱山や油田が開発されたが、これらの資源も素波里安山岩の地層があることでたまったものだ。また、この地層はミネラル分を多く含むおいしい地下水を豊富に蓄えている。

白神山地の地質は硬い火成石ともろい堆積岩で形成され、侵食と地滑りが激しく険しい地形が形成された。この地滑りがブナの森を育んだ。ブナは地滑りが起こった後の日照条件のよい地形に生育するのだ。険しい地形は人々の立ち入りを阻み、世界遺産の森を守った。

2500万年前から始まり今も続く地殻変動は、白神山地のブナの森はもちろんのこと、農業、漁業、観光など幅広い恵みを地域全体にもたらし続けている。山と海のジオスポットがコンパクトなエリアに集約しているのも八峰白神ジオパークの魅力である。ぜひ、白神山地の世界遺産とともに、八峰町にある地球の営みのダイナミズムを体感してほしい。

海底で固まったマグマがひび割れ、隆起して現れた「柱状節理」。
海底で固まったマグマがひび割れ、隆起して現れた「柱状節理」。
素波里安山岩の岩肌を清流が流れる「三十釜」の渓谷。新緑や紅葉の季節には数多くの観光客が訪れている。
安山岩の岩肌を清流が流れる「三十釜」の渓谷。新緑や紅葉の季節には数多くの観光客が訪れている。
落差17mの白瀑も海岸段丘の段差である。毎年8月1日には、滝つぼでみこしが練り歩く祭りが執り行われる。
落差17mのしらたきも海岸段丘の段差である。毎年8月1日には、滝つぼでみこしが練り歩く祭りが執り行われる。
留山に広がるブナの森。江戸時代、洪水や水枯れを防ぐために樹木の伐採が禁止に。今も立ち入りにはガイドの同伴が必要だ。
とめやまに広がるブナの森。江戸時代、洪水や水枯れを防ぐために樹木の伐採が禁止に。今も立ち入りにはガイドの同伴が必要だ。

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