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2013年 秋号 (10-12月)

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[達人に聞く!!] 自然観察法のイロハのイ

見上げるだけでできる!雲ウオッチング

見上げるだけの雲の観察は、どこでも簡単にできます。雲に詳しい空の写真家の武田康男先生は「頭の上には空という大自然がいつも広がっているんです」と、空を指差します。気象予報士でもある武田先生に、雲の観察法の基本を教えてもらいました。


雲の観察のポイント

[イ]30分以上の観察で雲の変化に注目
[ロ]雲の種類は高さと形の関係で覚える
[ハ]風や雲の変化で空模様を読む

写真家の武田康男先生

学校でできる自然観察

――― 雲については、小学5年生の理科で学びますね。観察する場所は、どこがいいのでしょうか?

達人 学校なら校庭や校舎の屋上でできます。大きな公園、川や海のそばなど、空を広く見られる場所ならどこでも構いません。朝や夕方なら、まぶしい思いをしませんよ。夜、月明かりで見るのも一法です。秋は、偏西風が南下してきて日本列島の上空を流れ、低気圧が発生しやすくなり、いろいろな雲が生じます。秋は、雲の観察にうってつけの季節ですね。

――― よく「秋の空は高い」と言われますね。

達人 それも偏西風が吹く影響で、大陸から乾いた空気が入りやすくなり、湿度が低くなって空が遠くまで見えるようになるからです。高い空には、強い風に流されてすじ状に伸びた雲などが見られるようになります。

――― 観察に必要な道具は?

達人 方位磁石があると、見ている方角や風向きがすぐに分かって便利です。あれば、サングラスも持参しましょう。必ず、子どもたちには「太陽を見ないように」と、観察を始める前に注意してください。

――― 雲の観察をするときは、どこに注目すればいいのでしょうか。

達人 大事なのは雲の変化。変わらないと思われがちですが、雲は風に流されながら形を変えたり消えたりします。この変化の観察がおもしろいんです(下の連続写真参照)。30分以上は観察し、数分置きにデジタルカメラで撮影し、コマ送りで再生すると変化が一目瞭然。スケッチでもいいでしょう。地面にシートを敷き寝そべって観察すると楽ですね。よそ見せず、雲の観察に集中できます。

雲の形は刻々と変わる
雲の形は刻々と変わる

雲の種類は高さと形で分類

――― 空を見上げると、思ったよりもいろいろな形の雲がありますね。

達人 まず、雲を立体的に見分けられるようにしましょう。低い雲は灰色に見えることがあります(下の写真参照)。

灰色がかった雲は低く、その上や間に見える白い雲は高い。武田康男撮影(9月朝 千葉県柏市)
灰色がかった雲は低く、その上や間に見える白い雲は高い。武田康男撮影(9月朝 千葉県柏市)

――― 雲は種類が多いので、覚えるのが大変そうですね。

達人 写真だけで覚えるから大変なんです。空の中の実物を見ながら覚えれば、印象深く頭に入りますよ。世界共通の分類法では、雲の形はわずか10種類。見分けるポイントは、雲の高さと形です。まず、雲のできる高さを「高い」「中くらい」「低い」で分類。次に、形が「すじ状」「かたまり状」「層状」で分類(下の表参照)。秋によく見られるのは、上層のすじ雲やうろこ雲、中層のひつじ雲などです。

四季折々に見られる10種類の雲
四季折々に見られる10種類の雲

風を読んで雲を追う

――― 雲ができやすいところは?

達人 雲は、空気が風や気温、地形の影響で上昇して冷やされてできます。下層、中層、上層では、風向きが異なり、雲の出来方が違うので、注意深く観察しましょう。

――― 風は見えないので、子どもたちには観察が難しいかもしれません。

達人 教師が子どもに説明する場合には、ガス風船を使う方法もあります。ヘリウムガスが缶入りで安く売られているんです。子どもたちに上空の気流を予想させてから、ガス風船を膨らませて飛ばします。空を広く見られる場所で見上げると、西に流れたかと思うと、気流に乗って上昇したり、偏西風で一気に東へ移動する様子など、風がさまざまな方向に流れ、それによって雲ができることが分かります。

ガス風船

――― 天気予報もできますか?

達人 秋の空で言えば、うろこ雲が空一面に広がっていたら天気が崩れます。わた雲が朝から多く現れたり、流れていると雨が降りやすいです。台風接近時には、高い空にすじ雲が見られ、低いところで灰色のわた雲がたくさん流れて来ます。晴れ・曇り・雨という天気の変化は、簡単に言えば雲の変化。観察を繰り返せば、狭い範囲の短時間の予想はできます。天気を予想する力は、雨風を避け、身の安全につながりますので、ぜひ自然を読む重要さを子どもたちに伝えてください。

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