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2011年 初夏号 (6-7月)

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特集:上手に泳ぐってどういうこと?

"泳ぎ"から見える生命力

[特集:上手に泳ぐってどういうこと?]イメージ
■新江ノ島水族館「相模湾大水槽」
新江ノ島水族館前方の海岸から伊豆大島に至る相模湾内の豊富な生態系をそのまま館内で表現した相模湾大水槽。
[特集:上手に泳ぐってどういうこと?]イメージ
新江ノ島水族館 展示飼育部
魚類チームリーダー 崎山直夫

泳ぐ楽しさを知るために水族館に行こう!

水族館は、観察のポイントを変えるといろいろな楽しみ方ができる場所なんです。たくさんの種類の魚の形や色を観察するのも楽しいですが、泳ぎ方に注目するのもおもしろいですよ。

実は水の中の生き物の特徴は、泳ぎ方に現れやすいのです。魚たちが泳ぐのは多くの場合、エサを捕ったり、敵から逃げたり、繁殖をしたりするときなどです。泳ぎ方に注目して特徴を見つけられると、生き物への関心が高まって楽しいひとときを過ごせると思います。

例えば、タイの仲間のマダイは、高速で泳ぐときは、水の抵抗を少なくするために背ビレを畳み、胸ビレを胴体の側面にぴたりとしまい込みます。アンコウの一種のカエルアンコウは、胸ビレで海底を歩くように泳ぎ、尾ビレは逃げるときぐらいしか使いません。

また、イカの仲間のカミナリイカは、水を噴き出すロートと呼ばれる部分を自由に動かしながら水を吐き出して、その勢いで進みます。好きな方向にピューッと移動することができるんですよ。

同じ魚でも、尾ビレをブンブン振って速く泳ぐ魚もいれば、大きなヒレをヒラヒラ動かして岩の間を漂うように泳ぐ魚もいますよね。

速く泳げれば生き残りやすいかといえば、決してそうではありません。環境に適した独自の泳ぎ方をしてきた生き物が今まで生き残ってきたともいえるのです。それぞれの水の中の生き物は、その泳ぎ方をするために形作られているといえるのかもしれません。

例えば、速く泳ぐ魚は一般的に水の抵抗をあまり受けないような形になっていますが、アンコウやフグなどあまり速く泳がない魚は、そうでもありません。また、多くの魚は体内に浮き袋を持っていて、その大きさを変えることで浮力を調整しています。しかし、サメやエイには浮き袋がなく、肝臓がその役を果たしています。体内の構造も、それぞれの泳ぎ方と深い関連があると思われます。

新江ノ島水族館は、江の島周辺の海域であり、暖流と寒流が影響しあう豊かな生態系の相模湾にこだわって、「つながる命」というテーマで海の命の関わり合いを伝えています。水族館で海の大切さや魅力を感じるとともに、時には生き物たちの"泳ぎ"から命を見つめてみるのも楽しいですね。

水の中の生き物にとって、泳ぐことは生きること。きっと、豊かな生命力を感じてもらえると思います。


フンボルトペンギン
■フンボルトペンギン
飛ぶよりも泳ぐことを選んだ鳥類のフンボルトペンギン。
体形は水の抵抗を受けにくい紡錘形。
マイワシ
■マイワシ
水中での抵抗を最小限に抑える体形。群れるのが特徴だが、群れのリーダーは特にいないという。
カミナリイカ
■カミナリイカ
水をロートから吐き出して推進力を得る。ロートの向きを自在に変えることで進路が変更できる。

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