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2007年 6月号

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再発見!ZOO

【動物たちに逢いにいこう!】好奇心いっぱいの"森の賢人"オランウータン

オランウータン
ジプシーは土いじりが大好き

「みんな、何かつまらなそう。面白いことを考えてやりたいなあ」

2003年春、多摩動物公園でオランウータンの担当になった黒鳥英俊さんは、放飼場で暇をもてあましているオランウータンたちを見て思った。

たまたま持っていたハーモニカを、最年長のジプシーに聴かせてみた。すると、ジプシーがそろそろと黒鳥さんに近づき、そっと手を出した。「おまえも吹いてみるか」

受けとったジプシーは、音の出る方を確かめて、吹いたり吸ったりした。ジプシーは娘のチャッピーにハーモニカを渡す。それを孫のポピーが奪う。

さっそくみんなにハーモニカを調達した。オランウータン舎は、時ならぬハーモニカの大合奏となった。

オランウータンはレーズンをひと粒ずつ摘んだり、ペットボトルのふたを開けるなど、手先が器用だ。

試しにお掃除セットを用意してみた。何でも先にやりたいジプシーが、バケツの水で雑巾を洗い、絞ると、床と壁を拭きはじめた。雑巾が汚れると洗い、お気に入りの石をゴシゴシと磨いた。「わたしはずっと前から、これをやってみたかったのよ」と言わんばかり。とても満足そうだった。うちわも渡してみた。手つきがいい。疲れるともう一方の手に持ち替えてあおいでいる。

次はガーデニングセット。すると、教えたわけでもないのに植木鉢に土を入れ、草を植えはじめた。硬い土には水をかけて軟らかくしている。彼らは、土いじりが大好き。夢中になって遊んでいる。「おまえたちができることは、まだまだありそうだな」。黒鳥さんは嬉しくなった。

2005年。長いこと地上生活だったオランウータンたちへの、大がかりなプレゼントが完成した。9つの塔をロープで結んだ、長さ150m、ビルの3、4階の高さのスカイウォークだ。ロープにぶら下がったオランウータンが、楽しそうにお客さんたちを眺めている。「彼らが悠々と空中散歩している姿をぜひ見てやってください」と黒鳥さん。

飼育係の動物への思いから生まれたアイデアが、彼らのイキイキした表情を引き出している。

ハーモニカを吹くジプシー
ハーモニカを吹くジプシー
ガーデニングで使ったシャベルを池の水で洗うジプシー
ガーデニングで使ったシャベルを池の水で洗うジプシー

多摩動物公園には、8頭のボルネオオランウータンがいる(2007年5月現在)。ボルネオオランウータンは、東南アジアのボルネオ島に生息する知能の高い大型類人猿で、主に森のなかの樹上で生活し、果実や若葉、ときに昆虫や小鳥などを食べる。野生では、群れで生活することはないが、多摩動物公園では、母親・ジプシー(推定51歳)を中心に娘・孫たちが仲良く暮らしている。

■ 飼育員からのメッセージ ■

学校の先生方には、気に入った動物を、子どもたちにじっくり見せてあげてほしいと思います。オランウータンは、ずっと眺めていても飽きることがない動物です。嬉しいときや悲しいとき、不機嫌なとき、感情が表情や態度にはっきり表れるところは、人によく似ています。オランウータンがどんな気持ちでいるのか、考えながら観察してみるのも楽しいですよ。また、オランウータンはとても仲が良く、しばらく見てると、一緒に遊ぶ姿なども見られるかもしれません。

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