• サイエンスウィンドウのウェブコンテンツ
  • 宙(そら)と粒との出会いの物語
  • 科学と技術のおもしろさを伝える 子ども科学技術白書
  • 未来の共創に向けた社会との対話・協働の深化
  • サイエンスアゴラ
  • サイエンスポータル
  • サイエンス チャンネル

2007年 5月号

この号の目次へ戻る

特集:色ってな?に?

「色が見える」ってどういうこと?

空が青いのは、大気により光が散乱するからだ。
では、ネオンサインが青く見えたり、トルコ石が青く見えたりするのも、同じしくみなのだろうか?
色の見える原理を初歩からまとめてみた。

分かれる光

光は虹の色に分かれる

私たちはたくさんの色に囲まれて暮らしている。しかし、太陽の光が届かない夜の景色は黒一色だ。鮮やかな色彩の花も、光が当たらなければその色は見えない。色は、光があるから見えるといえる。

太陽の光は無色透明で、色がついているようには見えない。ところが、この光をプリズムに通すと、いろいろな色の光に分かれる。つまり光の中にはいろいろな色が含まれているのだ。このことを最初に発見したのは、かの有名なイギリスの科学者、ニュートンで、今から約350年前のこと。それまでは、プリズムが光に色をつけると一般に考えられていたのだ。

さらに、光が波としての性質をそなえていることが、その後、19世紀に入って明らかにされた。波の間隔を波長といい、光の色は波長の長さによって異なる。波長が長い光は赤っぽく、波長が短い光は青っぽく見える。プリズムに入った光は屈折して進路が曲がり、色が分かれて見える。雨上がりに見える虹も、空気中の小さな水滴がプリズムの役目を果たし、色が分かれる現象だ。

分かれた光を凸レンズで集める
分かれた光を凸レンズで集めると、白色光に戻る
プリズムは、ガラスなどの透明な材質でできており、三角柱の形をしている。密度の異なる材質中を光が進むとき、2種類の材質の境界面で光が折れ曲がって、進む方向が変わる。このことを光の屈折という。屈折する割合(光が折れ曲がる程度)は、光の波長によって異なる。光の波長が短いほど屈折が大きく、長いほど屈折が小さい。ニュートンは、分かれた光の帯をスペクトルと呼んだ。そして、分かれた光を1つに集めれば再び白色光に戻ること、また、分かれた光の1つをもう一度プリズムに通しても、それ以上には分かれないことを実験で確認した。それらの結果からニュートンは、「虹はプリズムがつくる」というそれまでの考え方を否定し、太陽光がいろいろな色の光の集まりであるという重要な原理を導いたのだった。光学の基礎をなすこの革命的な発見は、『光学(Opticks)』という本にまとめられた。

目に届いた光の色が見える

色が見えるということは、特定の色の光が目に届くということだ。たとえばネオンサインの青い光が目に飛び込んでくれば、私たちはそれを青いと感じる。では、トルコ石のように自分から光を出していない「物」が、青く見えるのはなぜか?

この場合、私たちは物に当たって反射してきた光の色を、その物の色として見ている。青い光だけをはね返し、それ以外の光を吸収する物からは、青い光だけが目に入ってくるので、私たちは青い物と感じるのだ。赤は赤い光だけを、黄色は黄色い光だけを反射する。白はすべての光を反射する。黒はすべての色を吸収し、目に入ってくる光が何もないので黒く見える。これが「物についた色」の見え方のしくみである。空の青も、信号の赤も、レモンの黄色も、さまざまな波長の光が目に入って色が見えるという原理は同じである。

色がついて見えるしくみ

白い紙からは、すべての色の光が反射されて、目に届く。青い紙からは、青い光だけが反射されて、目に届く。黒い紙はすべての色を吸収し、反射される光がない。

白い紙と反射
青い紙と反射
黒い紙と反射

物が光を吸収するとは、どういうことだろうか。光が吸収されるということは、物を構成している原子の中の電子がエネルギーを受け取り、高エネルギー状態(励起状態)になることだ。その後、電子はエネルギーの低い元の状態に戻るが、その際に熱エネルギーを放出する。黒い紙に光が当たると熱くなるのは、このためである。

波長の単位はnm。1nmは100万分の1mm
波長

光は波

光の波の山と山(あるいは谷と谷)との距離を波長という。私たちが目で見ることのできる光(可視光)の波長は380?770nm。波長が長いと赤色、短いと紫色に見える。赤より長い波長の光は赤外線、紫より短い波長の光は紫外線と呼ばれ、人間の目では見えない。光のスペクトルの色の分け方は1種類ではなく、青を青と藍あいに分けたり、緑を緑と黄緑に分けたりするときもある。虹の色の数も、フランスの5、ロシアの4といったように、国によって違いがある。

海の中は青一色

海の中は青一色
参考文献:『ナショナル ジオグラフィック日本版』2005年5月号

海の中に潜ってみると、青一色の世界が広がっている。水も空気と同じで透明だが、なぜ青い色に見えるのだろうか? それは、海中に差し込んだ光のうち、波長の長い光(赤、橙色、黄色など)を水分子が吸収する性質があるからだ。深くなるほど、赤っぽい光は吸収されて失われ、海中を進む光は波長の短い青っぽい光だけになっていく。

そして、深い海では青い光しかなくなり、鮮やかな赤い色の魚も、赤く見えなくなる。反射すべき赤い光がないからだ。

ちなみに、水が青く見えるのは海に限ったことではない。学校のプールに潜ってみても、青く見える。また、海水やプールの水は、上から見ても青い。青い光が海底などに当たって外に飛び出してくることと、水面が鏡のように空の青を映すことによる。

また、海の色は、汚れやプランクトンの存在によっても影響を受ける。図のスペクトルは、海中に届く光の波長を表しているが、海の状態によって、スペクトルと水深との関係も変わってくる。

取材協力:大島範子(東邦大学理学部教授)

この号の目次へ戻る

バックナンバー一覧へ